MASTERキートン

MASTERキートンを読む。
高校以来の再読なのだが、素晴らしい漫画だ。再読に耐えうる漫画であり、大人になってからでも楽しめる漫画。というか、いまの方がよっぽど良さがわかるのかもしれない。

高校以降、僕は小説ばかり読むようになった。なんだか漫画を読むことが子供っぽく思えてきたからだ。だから、素晴らしい小説をいくつも読んだが、それを経てからMASTERキートンを読み返しても、全く遜色がない。むしろ、現代日本文学よりもよっぽど素晴らしいと思える。

基本的に1話読み切りなのだが、どれも(まあ、全てではないのだが)読み終えた後、深い余韻が残る。いい作品の証拠である。

物語の構造としては、主人公のキートンが元SASであり、考古学者ということもあり、その知識を活かして難題を解決する、というのが軸にある。

例えば砂漠に研究者たちと砂漠のど真ん中で放置される、という名作回があるのだが、数時間で熱中症になりそうな状況で、キートンの経験をフルに活かし、サバイブする。そういう知らないことが書かれている驚きが面白い。

・・・のだが、それだけでは単なる面白いマンガで終わってしまう。MASTERキートンには、そこに人間のエゴや優しさ、要は人間ドラマが描かれているから良いのである。

小説を超えた、と書くのはステレオタイプでうんざりするが、まあ実際にそうで、やはり日本には小説が消えても漫画があるじゃないか、という気がする。